Last words
2012年3月21日
あふれるような気持ちを 限られた短い言葉に込めないといけないとしたら
そんな場面で、とある二組の恋人達が交わした言葉のことを書いてみようと思う
ひとつめは、長年連れ添った夫を残して天国へ旅立った妻のことば
病室のベッドの 最後の瞬間
しぼんだ花が 風に吹かれて落ちるように
命が薄れていく妻の身体を抱きしめながら
少年のように 無力な夫
夫の不器用な手を取り 穏やかに目を閉じるときに 彼女はささやいた
「愛してるよ バイバイ」
もうひとつは、若 くして病に倒れ、妻を残して空へ羽ばたかなくてはならなかった夫の言葉
「残された人生をお前らしく精一杯に生きること それからおいで 待っている」
最初の話はご両親の別れを病室で見届けた娘さんが教えてくれた。
次の話は、ご主人の旅立ちを見送ったその女性が直接教えてくれた。
どちらもごく最近のこと。
ここの近くの小さな街に、手をつないで生きていた名もない恋人達の話