ロマンティスト

2012年2月20日





2月20日は亡くなった祖父の誕生日だ

優しい絵を描く祖母に先立たれ、祖父はその後十数年間も彼女のことを想い続けながらいくつもの愛の詩を残した。

そんなロマンティストの祖父が亡くなる少し前に、僕が最後に彼に会いに行った時の会話を、毎年2月20日には思い出すようにしている。

父方の祖父母にとって僕は、3人しかいない孫たちの1人としてとてもかわいがってくれた。

僕は、身体が不自由になりどこへも出かけては行けなくなった祖父に、どんなことでも願いを聞くから何か僕にできることをリクエストしてほしいと申し出た。

何か、何でも良い、 祖父が喜ぶことをしたかった。 世界の果てのOO島に行って、OOという人を探してOOをわたしてきてほしい、とか・・

どんなことでもするつもりだった。

そんな僕に彼は一言。 「世の中のためになる生き方をしてほしい」 「それだけだよ」

穏やかな口調で語られたその言葉は僕の心にまっすぐ飛び込んできたので、

「はい」と答えた。

それだけ、か。簡単だな。 とは思わなかった。

生き方、 今までもたくさん考えながら進んできた。

2003年のイラク戦争のときは反戦平和を目指す社会活動に没頭した。

2007年には世界の貧困飢餓をなくすための人道支援活動に一生を捧げようと決意した。

自分が心の底から本気でやりたいことが見つかったと思った。 とても強い想いだったつもりなのに、数ヶ月後、そんな僕を試すかのような出来事があり、僕は活動を簡単に中断してしまった。 自分の小ささを思い知らされた。

おじいちゃん、

2月20日にはあなたのことを思い出しています。

そして、僕に残してくれた言葉の意味を。

祖母の絵 フリージア(水彩)