surfblog 2009  




2009年12月25日

先日N浜でのセッションを終えて帰宅しようとしたAJ君はちょっとドラマティックな体験をした。

ここ最近の彼の愛車は、エンジンの寿命がかなり近いということが噂される中、アクセルをいっぱいに踏み込んでも平地で50キロ以上のスピードは出ない。 おまけに信号などで停車するたびにエンストをして、後からクラクションを鳴らされてもAJ君は気にもせずに、平常心のまま煙草をふかしながらいちいちエンジンをかけ直しながら走行し続けるという、ハリウッド映画やMTVとか

ビーバス&バットヘッド サウスパーク

などの超クールなアニメなんかに出てくるぶっ飛んだヒッピーばりのシーンを現実に生きていた。 そしてこの日、彼の愛車は二位ノ浜の坂(500m以上のクネクネの坂)を3分の1まで登った時点でどうしてもそれ以上登ろうとしてくれなかった。 そこで、一度坂を降りて駐車場の半分以上まで下がって、助走をつけて勢いに乗って再挑戦したが、坂の中腹ぐらいで止まってしまう。 もう一度下がって、今度は駐車場の一番限界の奥まで戻り、そこから助走をつけて思い切りぶっ飛ばして(50キロで・・)再び登ってみる。 それでも彼の愛車は坂の頂上が見える前に止まってしまう。 あきらめて坂を下りたAJ君に電球的ひらめきが。 彼は愛車の 向きを180度かえると、そのままバックギアで登ったのだ。 力のあるバックギアで今回は見事に登頂成功。 この一連の動きをビデオに収めてジャックジョンソンなどのサーフドキュメンタリーに売りたかった。というか、僕が見ていないだけで、LOSTの作品に彼は出演しているっポイ。・・・気がしてきた。

それにしても彼の愛車のダイナミックなマニューバーに僕はますますAJファンになった。

写真は長門市にサーフィンに行く途中のAJくん(in宇部CITY)KRくん撮影 





2009年11月20日

久しぶりの更新となるこのブログだが、僕達のリズムは変わっていない。 遠くの海で風が吹くと波が大きくなり、うねりが何日か届き続ける。 僕達たちは海に集まり、滑り台で遊ぶ園児のように何度も何度も沖に出る。 そして波は小さくなり無くなってしまうとサーファーたちは日常のそれぞれの場面に戻ってゆく。ここのところ真冬並の寒さになったりして大きな波も上がったし、基本的にずっと続けてサーフィンができる状態だ。 先日の寒波のときにはレギュラーのリーフが爆発した。 僕は仕事で行けなかったのだが、経験豊富なサーファーも岩場に打ち上げられたり板がまっぷたつに折れたりとハードなビッグウェイブがみんなをうならせたようだ。 もとも とそのポイントの波は、突進する猪(いのしし)のようなワイルドさをもつブレイクなのだがサイズが普段の2倍ぐらいになったその日のコンディションは特別でパワーのある極上の波質だったとみんな興奮していた。 同じポイントで数日後に僕は腰の骨盤をフィンに強打してフィンが根元ではなく真ん中で二つに折れてしまった。壊れてしまったフィンにがっかりするよりも、骨に走る激痛でテイクオフが笑えるぐらい不器用になってサーフィンも痛みをかばうのでメチャクチャ可笑しくて、痛みに顔をしかめながらも自分で爆笑していた。 KP君も少し前にバックサイドのエアーをしたときに、ボードが跳ね返ってきてあごを強打してしまい、肉がえぐれて血がだらだらと流れる負傷があった。歯が折れたよう に感じたらしかったが次の日は何事もなかったかのように傷口に何かのテープを貼付けたKP君が同じように激しいトリックを練習していた。

稲中のマンガのような話だが、初秋に、ダンパー気味に崩れてきた波にあわせてド派手なエアープルアウトをしたときに、水深のことを計算せずに(干潮で岸近くのかなりインサイドなのに!)直角に(カッコ良く両手を腰にあてて!)頭から(高飛び込みのように!)着水してそのまま超浅い砂底に突き刺さり首を負傷したOG君も今ではだいぶ調子も戻ってきていて、最近はミックファニングのカーヴィングを意識したサーフィンを練習しているようだ。 まだ整体に通ったりしているらしいので慌てず無理せずに完治してほしい。

以下はOG君からのメールを掲載 させていただいた。

心配ありがとうございます

差出人: ******@ezweb.ne.jp

送信日時: 2009年9月29日 21:30:46

宛先: ******@hotmail.com

(直角式プルアウト)

レギュラーの波で(恵まれない環境P)テイクオフして、リップするにも早くハリハリブレイクしたのでテンションUPし、上空に高く、なおかつ横でもなく斜めでもなく垂直に発射をイメージしカッコよく、ぶっ飛び、頭から水しぶきたてず垂直(両手はコシの位置)に着水したら(水深の事は考えてなかったので…。) 直角式ブレーンバスターです。海底に脳天から全体重を支えた時、首のつけねに電気がはしり 僕の先輩でスノーボーダーで首の骨を骨折した事のある人の顔が浮かんできました。夜勤だが骨に異常がある時は夜にウズきだすだろうと思いサーフィンは続行不可能と判断し帰宅しました。後ろには動きませんが左右には動くので時にまかせます!ありがとうございます。またサーフィンしましょう!

経過報告

差出人: ******@ezweb.ne.jp

送信日時: 2009年10月4日 13:46:38

宛先: ******@hotmail.com

どーも。***です。 その後ですが 痛みがまったくとれないので大事をとって昨日病院へ行きました、レントゲンを撮ってもらったんですが、先生は「骨折、ヒビはないんですが」 「***さん、首の骨って普通はのどぼとけの方へ湾曲してますが、***さんの骨は今、背中側へ湾曲してます」と告げられました。

???沈黙

理解しました

「嬉しい!」

心配してもらっていて非常識なのは分かりますけど「普通のどぼとけ側が背中側」ですよ!僕は帰りの車の中で首に湿布を貼りつつ笑いをこらえるのがひっしで他人にバレない用に二の腕で口元をかくしました! 気持はこんな感じなので通院し回復力に任せます! (私は変態かも?) Enjoy SURF

写真は直角式プルアウトをメイクする直前のOGくん 撮影はOG君本人(自撮り棒で)





2009年12月31日

本格的に寒くなってきたし、ここ最近は時折強いオンショアでの波乗りが増えてきている。 先日も正面からの雪の目つぶしで失明するんじゃないかと思うようなコンディションもあった。 凍えるような大晦日の今日も今年最後の波乗りをしないわけにはいかない。 きのうは気温もそこまで低くなく、オンショアのリーフに入ったが波質の良さで楽しさに寒さは気にならなかった。 ところが今朝は目覚めると雪が降りそうな気温だ。 おまけに風はかなり強くなっている。 こういう日にサーフィンに行く予定だったが寒さでイヤになって急遽予定が変更になる人はどれぐらいいるのだろうか? まあ結局僕の仲間うちにはそういうサーファーはいないのだが、今日はあ やうく僕自身がそういう人になりたいと思うぐらいの寒さだ。 あまり雪が降ると山間部の路面が危険になり、海までやって来れない仲間はいる。 実際現時点で少し雪が降ってるらしい。 そんな時にハードなコンディションで少人数または、最悪な場合一人っきりで波乗りをするという経験もあるのだが、同じレベルの波のコンディションでも、温度が低くて、天候が悪くて、人数が少ないまたは一人、などという条件によりなんだかとてもハードに感じることがある。 それがビュンビュンのオンショアの吹雪だったりすると自分はサーファーなのか冒険家なのかわからなくなることもある。 今日はゲティングアウトしようとすると正面からの風でまるで前に進まないという状況になりそうな予感がする。

こんな日でも冷たい海に向かってしまうサーフィンの魅力というのはもはや異常だ。 この冬のシーズンは仲間の進歩もめざましくてみんなが刺激を与え合ってどんどん楽しくなってきている。 今日は誰がどんなライディングを見せてくれるのだろうか。 何本の波にうまく乗れて何本の波にもみくちゃにされるのだろう。 どんな波でドキッとさせられどんな波で快感に酔いしれることになるのだろうか。 自分には今年、いったいどんな成長があったのだろうか。 来年は何か新しい技がマスターできるだろうか。 さあ、ウエットやブーツを積み込んで今年の締めくくりのセッションに行って来よう。 See you in the water !!

講師メモ2009年





2009年9月4日

ここ数日は本当にひさしぶりにここ地元長門にビッグウェイブが届いた。 秋の気配のする北風に吹かれ、夏 の間沈黙を守っていたリーフが目覚めたかのようだった。 3日間連続でパワフルでホローな波。 小さな波でのサーフィンももちろんとても楽しいのだが、ある程度のサイズがあってこそ味わえる感覚がある。 サーフィンがいかに大きな快感をもたらしてくれるのかを思い出させられるセッションとなった3日間だった。 こういう波乗りをしたあとで授業に向かうと大抵は 僕のテンションが高いことと目が海水で赤くなっていることなどで生徒さん達にはサーフィンをしてきましたね?とバレバレになっている。 幸せそうな僕が嬉 しそうに波乗りが楽しかったと話すのを生徒さん達は微笑んでくれる。

今回のスウェルでみんな久しぶりのポイントブレイクを味わったわけだが、夏の間波が小さくなっている時期もイメトレをしたり宮崎に行ったり、または全く海 から離れていたり、それぞれの過ごし方によって、久しぶりにたくさん集まった仲間はみんな調子が良かったり悪かったりいろいろだった。 YD 君はニューボードで、テールの抜けるキレのあるリップをきわどいセクションに当て込んでいた。 AJ君はここ最近のカーバーでの練習の成果がレール ワークにでていたようでボトムとトップのターンに変化が見えていた。 Shtさんは相変わらずの体重を載せてスプレーを飛ばすサーフィンが気持ち良さそ う。 Ito君は以前より掘れた波に突っ込み、レールワークも意識をしているようだった。 KP君は掘れたセクションでのカーヴィングが切れ味を増している し、テールを抜くリップも繰り出していた。 KR君は今年に入って確実にターンの質が変わってきているので、時おり見せるラウンドハウスカットバックもい い感じだった。 YT君は久しぶりすぎてどうにかリハビリをさせてもらうという感じの波乗り。 僕はというと、冬につかみかけたテイクオフのコツは「忘れ ていた」ということを「思い出した」のが一つ。 意識しないと今まで通りのテイクオフになる。 もっと掘れた波でもっと正確にテイクオフをするためにも自 分ができないハイレベルなテイクオフに挑戦していきたい。 少しでも気を抜けばエレベータードロップになってしまうようなハードな掘れ方をした波に落ちる ようにしながらも斜めにレールを描けるギリギリの完ぺきさでテイクオフできるようになりたい。 そうなればチューブのメイク率も飛 躍的に伸びるし、良い波に乗れる数がかなり増える。 ところで、3日間のスウェルが無くなったあと、昨日はヒザぐらいのビーチブレイクだったが久しぶりにOG君があらわれて、奇跡的にショルダーが張ったセクションに夏を取り戻すかのように思い切り体重を載せたリップで波を切り刻んでいた。 彼の夏は70センチのウナギを釣ることとゴルフの練習で過ぎていったそうだ。 仲間がみんなそれぞれ進歩している中、今年のシーズンはすごいことになりそうな予感がする。



2009年8月16日

山口県の日本海側には春から夏にかけて一番波が無くなる。 毎年この時期になると二回は宮崎にサーフトリップ(サーフィン旅行)に行く。 GWとお盆休みだ。 僕のここ数年の夏のトリップでよくあるのがこの時期あまり海に入っていないのでパドル力が弱まってしまっている状態で、いきなり台風の波にあたり限界ギリギリのハードなサーフィンになってしまうというケース。 今回もまさにそれだった。

台風8号と9号からのうねりで部屋の天井の1.5倍以上は楽にあるようなビッグウェーブ、たまに来るお化けセットはそれよりもはるかにデカイという状況で、必死でどうにか波乗りをさせてもらってきた。 僕達と同じようにお盆休み中の他県からのビジ ター、そして宮崎ローカル達は波をチェックしに代わる代わるやってくるが、潮まわりが悪いので波質そのものはあまり良くなく、ハード気味なショアブレイクの絶えないテトラポッド近辺のゲティングアウトは少し危ない感じだったので誰も入ってこない。 そんなわけで見学者は常に10人ぐらいいるのに、海の中はKP君、Shtさん、そして僕という仲間うち3人だけ、朝イチから昼前までのセッションは貸し切りだった。 Shtさんはゲッティングアウトのときに手前の玉石に叩き付けられ打ち上げられた。一度はあきらめかけたが、出る場所を変えてリベンジに入ってきた。 カレントも強く時おり大きなセットが入ってくる無人のリーフブレイク、波数が多すぎることもハードな要因になっていた。 何度もパ ーリングをしたが、ハードに掘れるテイクオフさえメイクできれば、パワフルなショルダーが思い切ったカーヴィングにこたえてくれるコンディション。 手前にテトラポッドが口を開けて持っているところに激しく波がぶちあたり数メートルのまっ白な水しぶきを吹き上げていた。 高さのある長いスロープをドロップするだけでも最高に気持ちがよい。 そのあとは何度も大きなボトムターンとトップカーヴィングを繰り返せる。 しかしテイクオフの掘れ方にあわせられずパーリングしてしまった時はあわてる。 分厚いスープはドルフィンも効かず、ひっかけられてぐるぐるともまれ引きずられるうちに体力は消耗していく。 テトラ方面に持って行かれないように意識しながら呼吸を整え、セットのインパ クトゾーンとの距離、間合いを計算しながら冷静にパドルし続ける。

セッションを終えた時の僕の最初の感想は「無事に上がれて良かった」。 山口の地元に大きな波が来ないこの時期はこういう刺激を得て、またビーチの小波でもしっかりサーフィンしてトレーニングしておこうという気持ちにさせてくれる。

この時期どんな小さな波でもずっと海に入ってきたKp君は体調も万全で、レールをうまく使った素晴らしいサーフィンを見せてくれていた。

最終日の最後のセッションでは地形の完ぺきに決まったビーチで肩~頭ぐらいの最高に水抜けが良くなんでもできるファンウェイブにあたって、我々3人とも完全に満足する締めくくりとなった。



2009年7月30日

ここのところ北よりのうねりが届き続けている。

先日の集中豪雨では自然の恐ろしさを見せつけられた。 その記録的な雨は川の流れをものすごいレベルで増水し、僕達のホームビーチへもたくさんの砂を流し 込んでくれた。 先週も雨の直後に腰ぐらいの小さな波でサーフィンしたが、インサイドに砂がついているためにブレイクが良かった。 今日も胸ぐらいの波が レギュラーとグーフィに力強くブレイクしてくれた。 この感じだと、そのうちに大量の砂が形を整えてサンドバーが形成されて、数年ぶりの最高なブレイクになる気配があると思う。 ビーチでもある一定の条件のそろったサンドバーさえできればリーフ以上の波にもなることがある。 もう8月になるというのに水温 も低いまま。YD君だけはマッチョな精神力を誇示してモテたいのかトランクス一丁でキレのあるサーフィンを見せた。でも、みんなはスプリングが平均的なス タイル。 今日の印象深かったシーンはKR君のバックサイドのラウンドハウスカットバック。 あとはOG君のターンの伸びがパワーアップしていたようだった。 KP君も良いリップを繰り出した。AJ君、TD君もレギュラーの良い波をつかんだ。 TR君はアウトサイドで待ち、セットの波をつかむと相変わらず のクセのあるスタイルのロングライド。 Shtさんはインサイドのセクションでリップをして底の砂で後頭部を打ち、二度目に同じことをした時に上がって いった。 最近サーフィンのレベルが著しく伸びているのが誰の目にも明らかなKR君の言葉で印象深かったのだが「俺はパーリングやプルアウトでみんなから 笑いをとれるように日々訓練している」。 彼が80才のじ~さんになった時に人間ロケットのようなプルアウトを決めるところを想像して笑ってしまった。



2009年7月9日

最近は小さい波ばかりでサーフィンしている。

南西の風などでたつ小さな波にぎりぎりでショートボードに乗ったり、それ以上に小さければロングボードで遊んだり。

そういう状況でたまに北からのまともなうねりでサーフィンするとまた新鮮だ。 先週はそういう北うねりで楽しんだ。

そうそう、その時のことだが、ビーチのインサイドでなかなか押してくれなくてテイクオフしづらい波をぎりぎりまでパドルして追いかけていて、立ち上がる時にはすごい掘れ方をするというたちのわるい波に乗ろうとしたときのこと。 立ち上がってボトムに降りたらノーズが突き刺さってしまったわけだが、そのまま両手を前にして海面にダイブしたところ、思った以上に浅くて、 (多分30センチぐらいの水深だったと思う)それを意識していなくて両手はあまり衝撃を受け止める準備我できていなくて、そのまま両腕はグニャっとまがり、体重を載せたままで首から砂に突っ込んでしまった。

少し首や背骨がグキっとヘンな音を立てて軽く電気も走ったし、ちょっとだけドキッとする経験だった。 何年も前にスノーボードで、ジャンプして首から突っ込んだときはこれの3倍ぐらいのダメージだったのでまあたいしたことないけれど、でも、これがリーフだったら危なかっただろうな・・・ まあ、実際なんともなくてオデコに擦り傷ができて軽く血がにじんで赤く腫れてみんなに笑われたぐらいだったけれど、首から砂に突き刺さったのは生まれて初めてのことだったのでみんなにきい てみたら、KP君、OG君、KR君なども何度も経験があるそうだった。 そういうとても浅くてブレイクの悪いコンディションのときは波が小さくてもサムライウェイブなどと呼んでみんなで異常にテンションをあげてはしゃぐこともある。 このときはサムライではなくて町人ウェイブだったけれど。 今回は町人に首を刈られそうになった話でした。

今日も西面のビーチでスモールウェイブを楽しんだ。

スモールコンディションでの波乗りは独特の楽しさがある。

力のない波をいかにスピードに乗って走れるか。

以前知り合ったロストのビデオに出ていたカリフォルニアのプロサーファーが言っていたことを思い出す。

「力のない波には余計な力を 伝えてはいけない。その波が耐えられる力が30ならば30しか伝えないように。そこに50とか100とかの力を伝えると、失速するだけだ。」

逆に言うと、100まで活かせる波ならばサーファーはそのときこそ100の力を伝えるべきだ。 たとえばある波の100のポテンシャルを持つセクションに通常のサーファーの脚力や技術では70ぐらいしか伝えられないところで、プロならばしっかり100の力をかける技術、細かくは筋力、バランス、瞬発力、経験、判断力などを持っているのでそのためにライディングが全く違ったものになるのだ。

弱い波、小波の場合だと、反対に波の力よりもサーファーの力や体重が上回ってしまいがちだ。 このシーズンの小波などは、たとえば、40の力しか耐 えられないセクションでも、以前の僕は100の力をかけて失速したりしていたのだと思う。 そういうときプロは40のセクションだということを見抜き、40に調整する。 30でもなく50でもない、40だ。 同じ波の中でも30になったり60のセクションが出てきたりする、それを瞬時に判断し正確に読み、瞬時に力を伝えたり抜いたりする技術。 そういうものがスピードや技のキレにつながってくる。 サーフィンをやってもやてもあきないわけだ・・・

とはいえ、僕もすぐにテンションがあがってしまうタイプで、気がつくといつでも100の力を入れまくってサーフィンしてしまうことが多いので笑えるのだけれど。 この時期はそういうことを意識し直す良いチャンスだ。 なんにしても 小さい波でも最高に楽しいということだ。

当教室講師メモ 山口県長門市大浜海岸でのサーフィン2000年




2009年5月28日

パワーのあるリーフでのセッションを楽しんだ。

久しぶりの大きな波で、掘れ方も充分だった。

オンショアが強くつぶれているにもかかわらず、正確なライン取りでチューブを何度もメイクしていたYD君が目立っていた。最高のセットがは入り、彼がかなり深いチューブをメイクしたその直後の波でバックサイドのKP君がグラブレールでバレルをメイク。 ゲティングアウト中に連続で高いパフォーマンスを見せつけられた僕もKR君もテンションは上がりまくりだった。

みんなの喜びの叫びが飛び交う中事故は起きた。

YD君がかなり激しいワイプアウトをして跳ね返ってきたボードのレールが頭部を切ってしまった。

ラインアップに戻ってきた彼の頭からはプロレ スラー並の流血。 顔半分が真っ赤な滝のようだった。 そのままKR君が運転して病院に行き縫合してもらい無事に帰って来た。 ハードなコンディションでのサーフィンにはリスクがいつもついてくる。 少し前にはテトラポッドに打ち上げられたサーファーが骨折するという事故もあった。

波が大きくハードな時にはそれなりの覚悟と技術があった上で、肉体的にも精神的にも準備を万端にして海に入るということだけは間違いないようにしたい。



2009年5月15日

いつのまにかスモールウェイブシーズンになっている。 今日はヒザ~もも程度の波でのセッション。

掘れたセクションがレギュラーの波にたまにあり、みんなその波をつかんだ時はカッ飛んでいた。 こういうコンディションの時にでも

波乗りというのは、不思議とビッグウェイブサーフィンと変わらないぐらい楽しいものだ。 それはこの日海にいたサーファーみんなの笑顔に表れていた。

GWに宮崎で開催された、西日本,九州エリアでは最も大きな大会の一つに出場したYD君、最初のヒートをみごと1位通過、しかし次のヒートで僅差で3位敗退してしまった。 このレベルの大会でのスペシャルクラスで、最初のヒートとはいえ、一位通過はすごいと思うが 、次のヒートを勝っていればセミファイナル。 ここまであがると、全員が誰もが認めるトップアマだ。 コンペティションの厳しい世界の中でストイックに波乗りを追求する人間だけが持つクオリティーというものがある。

例えば大野マー選手。 宮崎で会った彼の目は異常な光を持っていた、と、YD君本人やKR君が言っていた。 WCTに日本人で最も近いサーファー。 このままWQSのランキングを着実に上げていってほしい。 YD君もいつも僕らの中では異質な緊張感をもたらしてくれる。 そんな彼にこれからも進化を期待している。



2009年4月27日

今日は久しぶりにファンなコンディションで純粋に楽しかった。

YD君のニューボードがみんなの注目を浴びた。 カーボンフレックスというハイテク素材のニューモデルだ。 レール部分にテニスラケットのようなカーボン素材が使われて、木のストリンガーは無い。フレックスというだけあって、レールを入れた後のターンの出口での反発で一気に伸びるようなドライブ感が特徴らしい。 そういう前評判を本人から聞いていたから若干の先入観はあるかもしれないが、実際のライディングでもターンの伸びがいつもよりも大きいように見えた。 他のサーファーも口々にそういうコメントをしていた。 今日は初乗りで違和感を感じると言っていたが、そのうち慣れたらす ごいことになるのかもしれない。 まだWCTでの使用はされていないらしいが、そのうち誰かがCarbon Flexのボードで活躍する日が来るのかもしれない。 KP君もカーボンフレックスのボードで入ってきたみたいだったが、それにしてはえらい汚くて黄ばんでいるなあと思ったら、ああ、レールが黒いだけの古い通常ボードだったんだね、と思って本人にそう言ったら、そうじゃなくて、これはやっぱり本当にカーボンフレックスのボードで、黄ばみはわざとイエローのブラシを吹いてあって日焼けしてもいいようにカモフラージュしてあるとのことだった。 ボトム面には斜めにわけのわからないカーボン(折れた部分のリペアのごまかしペイント?)も入っているすごいボードだが、調子は最高でいいリップを決めていた。

AJ君も一月ぶりらしかったがそのわりに調子は悪くなかった。

でも、久しぶりなのでパ ドルのバランスが少し悪くなってるのが僕との共通点だった。SHTさんはリーシュが切れたのだが、運良くボードがぐちゃぐちゃになる前に救出していた。KR君は最高のセットでグラブしたまま大きなチューブに包まれたが少しラインがずれて天井に叩かれた形で惜しくもメイクはできなかった。ほとんど出口に近かったので悔しそうだった。ITO君はターンが大きめになり調子を上げている。



2009年4月26日

今日は前回耳を切ったときぐらいのビッグウェイブ。

波質は前回よりも水抜けが良く、レールが良く入りターンがぐいぐい伸びる良い波だった。 が、一本だけテイクオフを躊躇してぎりぎりで引いて止めてしまった波があった。 この日一番の最高の波で、

最高の掘れ方をしたやつをだ。 自分自身では、前回の怪我などはまったく気にしてないつもりだったのに、その瞬間には、テイクオフをミスりたくない、このサイズでこの掘れ方の波でパーリングしたくないという防御本能のようなものが働き、一瞬恐怖がよぎった。

ビビってテイクオフを止めたのは、2008年冬からのこのシーズンで始めてだった気がする。 もちろん、やりすごしてからものすごい悔し さが残った。まあ、恐怖心が自分を守ってくれるのはわかるのだけれど、この感覚の矛盾は奥が深いと思う。

ところで、ITO君のニューボードのデザインはとてつもなくユニークだ。 ビッグウェイブ用のガンのような厚み6.7で幅も50近くと半端じゃない。 それでいて、5'6"ぐらいのフィッシュなどではなくて、通常のショートボードのアウトラインの5'11"だ。 こんな板は見たことがないと思ってかなり驚いた。 かまぼこボードもここまで徹底していると、ぼてっとしてモサイとかいう次元の印象ではなくなり、男っぽく強そうで、ちょっとある意味ワイルドでカッコいいのだ。 ショートボードのジャンルの中で、レーシンングタイプのバイクに比べてハーレーのようなものを想像させるかもしれない。 こ の板でのサーフィンは面白いだろうな,と思った。実際、テイクオフもメチャクチャ速く、レールワークも小細工の体重移動は効かないので、ラインを大きくするためのターンの練習に役にたっているようだった。 このデザインを注文した時は、シェーパーのCNさんも驚いたそうだが、シングルフィンの板をつくるか悩んでこれにしたというITO君、なんだかどこか気になる渋いサーファーだ。



2009年4月24日

耳の怪我で約一月のサーフィン休止となった。

パドルが弱くなった自分には今日はややパワーがありすぎるぐらいの波だった。 MNB君やOMT君などはボードが折れてしまった。

SHTさんはボードが顔に飛んできて,レールで鼻の下を切り、血を流してITO君がそれをチェックするために顔を覗き込んでいるのが、湖などで水中でキスをする恋人同士のラブシーンのようだったのが印象深かった。ITO君のニューボードはレールが厚く、その分,反発を活かしたターンを大きめに練習しているようでその効果が現われはじめているみたいだった。KP君は今日は数少なかったチューブを逃さずにばっちり決めていた。彼はロデオフリップの練習を常にイメージしているので、チャンスが あれば空中へと飛び出す姿勢でのライディングだ。 僕にとっては久しぶりのサイズのある波でライディングの内容よりも純粋に波に乗ることがとても気持ち良かった。

当教室講師メモ 2002年




2009年3月23日

今日は大きな波に乗った。 自分にとってはかなりひさしぶりに、水の量が多く分厚いうねりでスロープも長い波。 ドロップが最高に楽しかった。 水抜けはそ こまで良くはないので、サイズが大きい割には意外にパワーゾーンの範囲が広くない波だったので、ボトムに深く降りすぎると処理が難しくなる感じだった。 わりと早めにボトムターンをしてトップでカーヴィングを楽しむと一番この波のポテンシャルを味わえるようだった。 その前に入っていたポイントからそのま ま移動して短い板なので、テイクオフは遅れがちだし、ターンも板がばたついておさえるのが難しい。 それでも、何年か前の自分のライディングを記憶から比 較してみると、やっぱり今の方が上手なターンになっている。 以前より板をおさえられるようになっている。 ある程度からはあまり伸びていないように感じ るけれど、自分のサーフィンはほんの少しずつだけど毎年進化しているみたいだ。 水の量が多いパワーのある波にレールを埋める感触はやはり独特の気持ち良 さがある。 純粋に、シンプルなターンの一つ一つが歓びをもたらしてくれるのだ。 普段のポイントで楽しむのとは違う感覚のものだ、ビッグウェイブに夢中 になる人間はこの感触も大きな理由の一つだろう。 YD君はファーストブレイクの最初のボトムターンから、サイズのあるショルダーを縦に上がり、大きなア クションのオフザリップを見せてくれてみんなをうならせた。 KR君、 ITO君、 AJ君もそれぞれ良いドロップを見せてくれた。 僕は一本派手なワイプアウトをした。 目の前に大きなうねりが突然あらわれて、位置がインサイドすぎて少 し合っていなかったが、振り向いて刺し乗りのプッシュをしてパドルをしまくってテイクオフしようとしてみた。 結局立ち上がる前に底ボレしてしまい、どう にかボードの上に足は載せてドロップしたが、ボトムに降りるまでに体重が宙に残ってしまい、身体が完全に伸びて、ボトムに着地した時にバランスを失いワイ プアウト。 そのままものすごい量の水にぐちゃぐちゃにされて、両腕で頭をガードしていたのだが、水中でもまれている時にガードの隙からボードが横殴りに 右耳の上から飛んできて強打してしまった。 時間的にもけっこう長い時間もまれてインサイドに運ばれて、まるでロングライドをしたのと変わらないぐらいの距離を運ばれていた。 水中ではずっと板に水圧でぴったり押し付けられたままでもまれ続けて、何度か身体を打った。 結果は、耳を三カ所ざっくり切って、 一番大きい傷は、耳たぶを子指が通せるぐらいの穴が貫通しているという状態だった。 それでも、入って3本めぐらいの波だったし、頭の骨と耳の痛みは結構 強かったが動脈とかを切ったわけじゃないのであがる気もなく、ボードの方は目立ったクラッシュが無かったので(耳の柔らかさでボードの衝撃は吸収され た?)ラインアップに戻って行った。 そのあとは調子も上がって二時間以上たくさんの良い波を楽しんだわけだけど、KR君がとても心配してくれて、僕本人 以上に痛そうな顔で、 「全然大丈夫じゃないって!!マジで病院に行った方がいいよ!!」と言い続けてくれた。 確かに、水の中なので、血は首を伝い派手 に流れ続けていたので少し寒くなったけれど。 今日の他のアクシデントとしては、YD君はインパクトを食らって、ボードが折れてしまっていた。 今日の反省点としては、あのドロップは、自分の技術でも、あの位置からでも、理論的にはもっと落ち着いていれば、100%を出せていればメイクできていたと思う。 もう少しの勇気を持って、もっとぎりぎりまで漕ぎ続けて、もっと体重を載せて前下に突っ込んで、レールを斜めにさしながら落とせれば・・・でも、そんな ことができないのが今の自分の実力なのだろう。 自分の100%が今日の結果なのだろう。 とてもくやしかった。 テイクオフをもっともっと練習したい と強く思った。

それと・・・ びらびらになって貫通した傷を無理矢理広げ傷の消毒を自分でするのがかなり痛かった。

明日は病院に行って縫ってもらおう。

(この翌日鈍痛で目覚めると枕が血で真っ赤に染まっていた笑)



2009年3月20日

パワーがありクオリティーの高い波でのセッション

KP 君はチューブをメイクしまくりだった。 彼はセットの波を一番奥からかなりギリギリまでわざとタイミングを遅らせ、レイトテイクオフの直後からチューブイ ンしているのが刺激をもらった。 サイズのないチューブでも完全にストールし、波のブレイクと同化してすっぽりと身を隠していた。 SHTさんもあばら骨 を痛めているがチューブイン。 KMT君YKW君ITO君も良い波をクルージング。 KR君は最近ドライブターンの完成度を上げてきているようで、今日も スピードを感じさせるライディングが多かった。 ボトムを深く使う意識が連続のリッピングという結果にあらわれていた。AJ君は深いチューブの中で巻き上 げられて海底の岩に叩き付けられ、腰を強打していた。早く良くなるといいが。 大けがにならなくて本当に良かった。



2009年3月15日

サ イズはあるが、水がたまってダンパー気味な波が多いセッション。 日曜で大勢の仲間が波乗りをしていた。 全体的に波質は良くなかったがセットの波の一 本はわりとまともなブレイクを見せる。 その波をとらえようとみんなピークは激しい競争だったので、何度かちょっと危ないドロップインを目撃した。 先を 行くサーファーがワイプアウトして、後のサーファーが通過する瞬間に水中のボードがチューブのように巻いてくるリップとともに頭から振ってきて、ぎりぎり のところをかすめていくのを見た。 サイズがある上にこういうギリギリの掘れ方をする波ではある程度までこぎ続けると、途中で引くことが難しくなり、ピー クよりのだれかが奥でテイクオフしてくるのかを確認しながら漕いでいても結局ドロップインをしてしまうサーファーがでてくるのだ。お互いに技量やテイクオ フのクセなどを知り尽くした仲間うちでも時おり危ないシーンが出てきていた。 リスクが高いことなので、やはりドロップインは本当に避けるようにしたい。 良い波をとらえていたのはKMT君。チューブに入りそうなシーンもあった。インサイドではプルアウトがうまくいかずむち打ちになったり、打ち上げられそ うになったり、ぎりぎりまで攻めていた。

SHTさんやOMT君も迫力のある波を捕まえていて印象深かった。 最近娘さんが生まれて幸せいっぱいなMNB君その他のみんなもいい位置から大きなラインのサーフィンをしていた。



2009年3月14日

オ ンショアで癖のある波。 ときおりハードなセット。 AJ君は気合いが入っていて、かなり奥のドカ掘れの波に必ず躊躇せずに突っ込んでいた。 メイクでき てかっ飛んだり、真っ逆さまに危なそうななパーリングをしたり。 KR君はここのところトップのアクションの調子がどんどん上がってきているようだった。 ボトムターンも以前より進化しているみたいで、大きなセットの波にテイクオフした彼のボトムターンが印象に残ったのだが、サイズのある波のスロープから ボトムの形状に合わせた大きなターンで良く板をおさえていて、

ドライブしていたのがカッコ良かった。 ボトムターンのレベルアップが直接リップアクションのキレに表れていると思う。 ITO君もターンが大きくなりつつあるみたいだった。 OG君も調子の良いトップターンでスプレーを飛ばすし、O元君も良い波に乗っていた。

山口県長門市でのサーフィン  ビッグウェーブサーファーSHさん




2009年3月7日

どんなスポーツでもある程度以上のレベルを求めると必ず理論的に考えるトレーニングが必要になる。

今 日はIto君が最近意識しているという後ろ足重心の話をしてくれた。 前ひざをあまり曲げずに、後ろ足の腿のひねりの先行動作からターンに入るスタイルの 追求らしい。 最近乗っている2本のボードのデザインの違いからどういうスタイルだと乗りこなしやすいかなども研究しているようだった。 彼のいう基本加 重のスタイルの違いは確かにある。 そういうことを意識したイメトレから実際に波の上でスピードが増したり、ドライブが効いたり、鋭角にターンできたりと いう効果を確認できるまでのすべてが楽しい。

今日は土曜だけにサーファーはけっこう多かった。 YK君は速いテイクオフからいくつものリップを繰 り出していた。 SOさんは一番奥からセットの良い波をつかんでクルージングしていた。 AJ君とは、スープの下を抜けるためにターンをドライブさせるよ うに体重を抜く話をした。KR君は最近リップの攻め方が目立っている。 縦へのラインを意識して、身体を低い位置に残した体勢でリップをとらえる姿がアグ レッシブで見ていて刺激を受けた。 私はパワーゾーンを意識したボトムターンと、一番リスクの高い位置へのリップの当て込みが目標だった。 くせのある速 いブレイクに合わせて攻めるには正確なボードコントロールと、タイミングを見極める集中力を鍛えなければならない。

うまくいったりいかなかったり、難しいからこそ面白い。 空飛ぶ絨毯を乗りこなせたと思ったり、振り落とされたり。 水抜けがすごく良く、スピードに乗りまくる最高の波でみんながいい笑顔を見せ合うすばらしいセッションだった。



2009年3月6日

セッ トの大きなレギュラーの波のAJ君のぎりぎりのテイクオフが印象に残った。 セッションを通してスピードとリズムに乗ったライディングが多くて調子が良さ そうだった。 波乗りというのは自分が波に乗ることがまず最高に気持ちいいわけだけど、仲間が波に乗っているのをみるのも至上の喜びだったりする。 最高 の波につっこむシーンなどを真横から見るのはDVDなどでは味わえない迫力がある。 KR君は視線と上半身のリードを意識していたみたいだった。 いい角 度のフロントサイドのリップを何発か見せてくれた。 あたたかい日で天気も最高、空は真っ青、波もクオリティーが高くクリーン、水もグリーンで透明、今日 のセッションは出だしから気持ち良すぎ。 楽しすぎてテンぱってるKR君はしゃべるのがいっぱいいっぱいだったし、「最高!!」とか「気持ちいい~!!」 とかの言葉以外は何を言っているのかわからないような状態だった。 AJ君も終始笑顔。 カブトムシとかクワガタのような昼下がりから始まり、金色の夕方 を通して日が暮れていく、あっというまのようなとても長いようなセッションを終えたみんなは完全に燃え尽きていた。 あんなにやさしく柔らかくなめらかな 「水」という物質の中で身体の隅々まで動かして遊びまくる。 サーフィンならではのとろけそうな全身疲労が最高に気持ち良かった。



2009年3月2日

今日もオンショアで一気にサイズが上がった。

KSK君のトップターンにキレがでていた。 KR君はリップを繰り出していた。

OG 君が最近かなり大きなハートを見せてくれる。 メチャクチャな掘れ方をしたセットの大きな波でのテイクオフは見応え充分だった。 もう間に合わなそうな位 置だったが途中で躊躇することなくパドルし続けて、立ち上がる時には直角のような斜面に対して立ち上がり、落ちるようにしながらも斜面にレールをかませよ うとした。 (大抵のサーファーは、あの状況ならばあきらめてボードを前に蹴りだしていただろうと思う) が、やはり、ノーズが突き刺さりかなりえぐい ワイプアウトをした。 ああいう波につっこむ勇気はやはり見ていてなにか奮い立たせてくれる。 もう一本はバックサイドのオフザリップだが、かなりの水量 のあるまとまったセクションが落ちてきているところに、思いっきり豪快に身体をひねって当て込みにいった。 タイミングは合わずにバランスも崩してリカ バーできず、ド派手なワイプアウトをした。 実際あのリップが決まっていたらトッププロレベルだろう、というセクションでのリップだったのだ。 水中で かなりひどくもまれていて、次の波が来るタイミングまで8秒近くずっと水上に浮上できなかった。 ああいうアプローチはとてもリスクが大きく、勇気のいる ことだ。 見ているこちらは心が動かされ、テンションは必然的にどんどん上げられる。 仲間うちでそういう雰囲気になっていくとみんなの歓声も飛び交 い、さらに特別な笑顔がみんなを包む。 とても爽快な気分にしてくれたセッションだった。



2009年2月22日

今日はとても癖のある難しい波だった。 強いオンショアで急激にサイズアップしたものの、波自体はそれほどパワーがなく、それでも掘れ方はすごい。

おまけに前が落ちる波が多く、まともなサーフィンをさせてもらえなかった。

山D君はそんな状況もものともせずにうまくリップしまくっていた。

ITO 君はもう少しずつターンが大きくなってきているようだった。 O元君は、縦のラインを意識しているみたいだ。 KR君とAJ君も調子良さそうだったが、少 しメンタル面で調子が良くない私だけはパーリングを繰り返していた。 精神的なコンディションが本当に明白に反映されるのがサーフィンだ。 コンマ何秒の 判断や動作にワイプアウトかメイクかという天と地の差がかかっている。 心の状態が良くないと、それは即こういう難しいコンディションのサーフィンでは大 きく差が出てくる。

7年前ぐらいだろうか、ハードなコンディションでのワイプアウトで負傷してしまったことがある。 この 頃はサーフィンの調子がすごく良くて、調子に乗りすぎていて、危険に対する感覚がにぶり、少々無謀な攻め方をしていたのかもしれない。 メンタル面での甘 さ、油断が引き起こした事故だろうか。

サイズのあるリーフの、チューブを巻く波でエアリアルを試みて、空中に飛び出 し、落ちてくる波のリップに着水しながらバランスを失いそのまま転落。 干潮で潮が引いてかなり浅くなっていた時間帯のの、チューブを巻き上げているせいでさらに浅くなっているセクションでのワイプアウトだ。 水中では頭を両腕でガードしていたのだが、無茶苦茶なもまれ方をする瞬間にどちらが上なのかさえ わからない一瞬に、背中と腰を海底の岩に叩き付けられた。 数百キロの重い水が身体を岩に押し付けたように、グシャッという衝撃のあとミシミシときしむよ うな骨をつぶすような感覚があった。 背骨の中心あたりから手足の指先まで、全身を電流のようなものが走った。 激痛を超えたようなショックがあり、その瞬間に「あ、終わったな・・・」というような後悔というか、なにか冷静に何が起きたのかを悟ったような感覚があった。 もう二度とサーフィンなどはできな い身体になったのだろうと思ったし、もう歩いたりもできなくなるんだろうかと思うぐらいの感触だ。 海面に浮かび上がると、幸運なことに波は静まってい た。 セットの一番最後の波だったのだ。 あれが次々にドカドカと波が入ってくる大きなセットの真ん中だったら今日これを書いている私はいなかっただろう と思う。 インサイドにはテトラポッドが待ち受けているポイントだったので、あの状態でそこに運ばれていたら助かりはしなかっただろう。 全身の力が抜 けていてボードに乗ることも、パドルすることもできない。 かろうじて両腕に力を込めてボードにしがみついて意識を失わないでいることに集中した。 その 日は全部で4人ぐらいしか入っていないラインナップに来たセットの波に私だけがテイクオフをした時の、一番インサイドよりでの出来事だったので、私の異変 に気づいた人間はいなかった。 呼吸がまともにできなくて声も出せない状態で、助けも得られず、ボードにしがみついたまま漂っていると、2~3分ぐらい後 だろうか、やっと仲間が気づいてくれて、そのまま岸に引っ張ってくれた。 地元の漁師さんの助けも借りて海から引き上げてもらいそのまま救急車で運ばれ た。 救急車に乗った時点で安堵感でそのまま気を失った。

気がつくと集中治療室のベッドに寝かされて、両腕にはいろんな管が刺され、口には酸素マ スクがつけられていた。 そのまま3日間ぐらいそのような状態で朦朧としていた。 その間、一切水も飲んではいけなかったのが苦しかった。 2週間程度 は、泌尿器系の神経が麻痺したままで、排尿も排便もまったく自分の意思ではどうしようもなくて、器具を使ったりすべて助けてもらわなければならなかった。 腰を中心とした感覚が全くないままだった。 この頃の絶望は形容しがたい。 子供を作る能力も回復しない可能性のことを医者が心配していたのも怖かった が、やはりまた運動できるようになるのだろうか、何が損なわれるのだろうか、と不安は大きかった。 それでも生きていることに感謝していたし、見舞ってく れる友人達にとても大きく救われていた。 結局は徐々に感覚は戻り、仙骨という部位などの数カ所の骨折が治癒して二ヶ月程度後には歩けるようにリハビリを した。 (事故後初めてベッドから自分の足で立った時にはやはりすぐに倒れてしまった)三ヶ月弱で退院した。 医者いわく、ほんの数センチずれていたら、 もろに脊椎なので、間違いなく植物人間だっただろうとのことだった。 入院中に、夜中の3時だろうがどんなときでも助けてくださったお医者さんや看護婦さ んやすべての病院関係者に深い感謝の気持ちが生まれた。 本当に弱い立場になったときに、この人たちの助けがあったから生き延びられたのだ。 この体験は 私の心にとって強烈に、人のためになる生き方をしたい、と思うことのきっかけになった。 友人達のサポートや励ましも実質面での助けもたくさんいただい た。

入院期間中の英会話の仕事は、外国人の友人に私の生徒さんを引き継いでもらいどうにか乗り越えた。 怪我の後は大きな波が二年間ぐらいはこ わくて乗れなかった。 それでも人は時が過ぎると、そういうものすら徐々に忘れるのだろうか。今ではあの時の恐怖は、生々しい感覚としてはほとんど思いだ せない。 大きな恐怖と絶望だったという「記憶」があるだけだ。 教訓としても、何かを得たのかというと、実際ある程度以上のサイズでのサーフィンをして いる以上は危険を無くすことはできないわけだし、相変わらず時おりひやっとすることを経験しても波乗りを辞めようなどとは思わない。

そういう危険というのは、ある面ではこのスポーツの特別な魅力の一部なのかもしれない。

1994年にカリフォルニアのマーヴェリックスというビッグウェイブポイントでワイプアウトして命を落としてしまった、ハワイの伝説のビッグウェイブサーファー Mark Foo が生前に語っていたという言葉を引用してみた。

"If you want the ultimate thrill, you've got to be willing to pay the ultimate price."

究極のスリルを求めるならば、究極の代価を支払う覚悟がなくてはならない。

彼はそのサーフィンの技術、勇気、精神面での強さ、そして経験とどれをとっても世界最高峰のウォーターマンだった。

予測がつかない自然とのふれあいの前ではやはりだれもが危険を消し去るとこはできない。 私のような一般レベルのサーファーにとってでも同じことなのだ。 それぞれの人間にとっての自分の限界に挑戦し、その境界線のぎりぎりこちら側でいろいろなことを学ぶ。 ちっぽけな人間としての謙虚さ、自然の大きさ、 海との一体感、集中、アドレナリン・・・ 生きているという感覚が鮮烈に湧き起こる。 ”あちら側”の存在を感じるからこそ、そういう経験は特別な力を 持って人を惹き付ける。 自分のすべての存在が”その瞬間”になくてはならないのだ。過去や未来を思う余裕などない。すべてを集中して”今”を生きる。 全身全霊の能力をだしきってその瞬間に反応するのだ。

それは「魔法の絨毯に乗って空を自由に飛んでいる」または、「空を舞う竜の背中でダンスを踊る」とでも形容したくなるようなサーフィン独自の不思議な感覚とあいまって、この体験を本当に何物にも代え難い特別なものにしている。



2009年2月17日

午前中は雪もちらついた。 久しぶりに大きな波でのサーフィンだった。

オンショアだが時おりチューブを巻いてくるセクションもあった。

今 日はOG君のハードなセクションへの攻め方がみんなの印象に残ったようだ。 サイズのある波のショルダーが張りまくり、分厚いリップが落ちてくるところ に少々タイミングが遅れてあてこむというのはリスクがあるのものだが、彼はまったくひるまずに果敢な挑戦を繰り返した。 セッション後の彼の満面の笑顔か らは、思い切った波乗りに満足している様子で、コメントも「二流よりは一流のものを目指したい」というみんなに良い刺激を与えてくれるものだった。

AJ君は明らかに良い波をとらえる回数が増えている。 テイクオフが早くなっているようだ。 ターンの後半で体重を抜いて、ドライブさせることを意識しているようだ。

KR君も良い波にのっていて、スピードが増してきているので、トップターンでのスプレーが大きくなってきている。 調子が良さそうだった。

ITO君は落ちてきたハードなホワイトウォーターにも耐えて安定した重心で抜けていくようになってる。

私の印象は、水抜けがやや悪く、オンショアなためガタガタのボトムでのターンに苦労させられた。 こういうコンディション ではなおさら、どこでどの程度レールをいれるのが一番加速につながるのかを意識することが求められる。 トップターンでは上半身のリードを

大 きく使い、タメのあるターンの練習に少し手応えを感じることができた。 一度、とても掘れた波でぎりぎりのテイクオフを失敗、頭からボトムに叩き付けら れた時に、ヘッドキャップが外れて慌てたが、すぐ近くに浮かんできたのでなくさずにすんだ。 私はあごひもはわざと締めないようにしている。 締めてお いても、ずれるときはずれるので、口のまわりに変な形でかぶさってきた時にとっさに外せないとかえって危険なのだ。

ちなみにヘッドキャップは、頭を防護する役割は大きい。

私 は二年前に一人で波乗りしている時に、ワイプアウトしてもまれている時に、頭は両腕でガードしていたつもりだったが、両腕の開いている部分の後頭部を海底 の岩に打ち付け、危なく意識が朦朧として、気絶しそうになった。 そのまま意識が飛んでしまえば死ぬだろうと思いながら視界が暗くなりそうだった記憶があ る、しかしなんだか不思議なアドレナリンのようなものが出て、すうっと引き戻されるように正気に戻った。 そのポイントはインサイドにテトラポッドが待ち 受けているので、そのままだったら確実に終わりだっただろう。

意識が飛ぶかというところが、ヘッドキャップ(切れていた)をかぶっていたことで少しショックは弱くなり助かったのだろうと思う。 今ではヘルメットをいざというコンディションでは使うことにしている。



2009年 1月13日

本格的な寒さの中、今日もグランドスウェルが届く。 年末から最近までサイズのあるハードなコンディションでのサーフィンが続いている。

パワーのある波でのサーフィンは最高だがそれだけリスクも高い。

先日も二人のサーファーがテトラポッドに打ち上げられるアクシデントがあった。 大けがをしないように、気をつけたいものだ。

1月3日にはKR君が、そしてその一週間後の10日には私自身が、サーフボードをまっぷたつに折ってしまうハードなワイプアウトを食らった。

KR 君の場合、セットの一番大きな波にぎりぎりのポジションから思い切りパドルをして、危ない掘れ方をしたバックサイドの波にグラブレールでディープなチュー ブに無理矢理ねじ込んだのだが、ノーズが刺さってしまいリップとともに巻き上げられて叩き付けられて、ボードは、テールのデッキグリップの上の部分からき れいに折れてしまった。 私は休憩中で岸から見ていて絶叫したのだが、あれで折れるなら納得、というような攻め方だった。 私の場合は、これもセットの中 でサイズがありワイドで水量の多い波が、リスクの高そうなブレイクをしそうだったが、ピークの奥にポジションをとり、心を決めて必死に全力パドルした。 掘れすぎでレイトになったドロップをぎりぎりでレールをかけてメイクしようとしたのだが、立ち上がった時には前に放り出されて、ボードの下にはなにもなく なってパーリング。 水中に叩き付けられる寸前に最後に見えた光景で、「あ、これは折れるな」と確信したぐらいだったので、やはり当然のように折れてい た。

その次の日もほれほれのテイクオフをメイクできずにフィンの上に腰から落ちて、フィンを二つ破損してしまった。 ウエットスーツがすっぱり切 れたのと打ち身程度で済んだ。 一歩間違えば大けがをしていただろうからラッキーだった。 自分の技術の限界を超えるレベルで掘れる波のテイクオフはも ちろん、サイズのある波で高い位置でのフローターやエアーをして失敗し、ボードが裏返しになって、フィンの上に落ちて大けがをする可能性は怖いものだ。 もちろんリップもクリティカルなセクションに当て込むことで危険度はかなり増すし、チューブも攻めれば攻めるほど危険になってくる。 私自身も、今年も 自分の限界をさらにプッシュしていくと、仲間うちにも公言してしまったので心を決めて今までよりも攻めていこうと思っている。 まあ、その結果が新年そうそう激しいワイプアウトを繰り返すことになっているのだが。 そういうことは少しずつ結果がでることと信じていこう。





サーフィン写真