surfblog2016  長門市のサーフィン


サーフィン写真






2016年9月13日火曜日

STAY HUNGRY STAY FOOLISH

無駄を削ぎ落としたOG君

久しぶりにFXのビジネスワールドからサーフィンワールドへ戻ってきてくれたOG君。 今日はビーチの波を切り刻んで、チューブライディングを決めたりかっこいい姿を見せつけていたが、いつものように全く手加減なしで容赦なく攻めすぎて、早々にボードがノーズの下40センチぐらいから折れてしまった。 OG君は大して落ち込んだ様子もなくそのまま地元のホームセンター「ナフコ油谷店」へと直行。 ガムテープとかキッチンテープとかを買い込んで戻ってきた。 痛々しくぶっ壊れたサーフボードをテープで貼って応急処置?して2ラウンド目をサーフするのだという。

そんな行為は普通は有り得ない。 そんなことする人間は見たことも聞いたこともない・・ 発想が規格外だ。

僕もKRくんも、OG君の男らしさにしびれて大興奮。

ドクターOGがどんな手術でどんな風にボードを仕上げるのか想像してワクワクしまくって熱くOG君の生き様などを語り合っていた。 砂浜でゴルフをしていたMBOさんも「おー!かっこええな!」と感心していた。

僕が海に入ってからOG君が海に入ってくるまで1時間半以上経っていた気がする。 砂浜を遠くから2人のサーファーが歩いてくる。 一人は普通にKR君だが、もう一人はOG君。 もちろんかなり短いボードを脇に抱えている。

そのボディボードみたいな物体でOG君はどんなサーフィンをしたのかというと、正直言って驚かされた。 最初はテイクオフもできないんじゃないかと予想していたのだが、最初に乗った波一本めからリップを決めたし、その後も乗る波乗る波キレキレのリップを繰り出して、KR君も僕も絶叫しまくった。 昔世界中のサーファーに熱狂的に支持されたロストのサーフィンに通じるスピリットを感じさせられた。 後から事情を知らないAJ君が海に入ってきても、クールなOG君はボードのことを説明せずに挨拶だけしていたので、ふと、後で異変に気づいたAJ君は「あれ??OGちゃんノーズ!!爆笑」みたいなやりとりも面白かった。

みんなからは、ノーズ無い方が調子いいんじゃないん?とか冗談が飛び交っていたが、OG君の感想は「ニューボードに乗る時のような新鮮な感覚でめっちゃ楽しかったけど、やっぱノーズはいるっぽい」だった。

どんな時でも大胆かつ斬新な視点、そしてエンターテイメント性の高いライフスタイルやサーフィンスタイルで多くのファンを魅了するOG君だが、今日はやはりOG君はカッコ良いなあと思わされた。

斬新で大胆なデザインで世界に革命を起こしたAPPLE社の創業者Steve Jobsの名言に「STAY HUNGRY STAY FOOLISH」

というのがある。

「常にハングリーであれ! 常にぶっ飛んでいろ!」というわけだが、OG君の熱さや攻めの姿勢は、そんな言葉を体現していると思う。だからこそ彼は、でかいリーフの波でも「嘘やろ?あんなとこに当てに行くんか?」というようなリスクのあるセクションでリップを試みてぐちゃぐちゃに揉まれることも躊躇しないし、夜から1人でうなぎ釣りに出かけて、一晩中草むらに潜んで息を潜めて釣り糸を見つめ続け、そのまま夜が明け昼が来て15時間の徹夜をして何も釣れずに帰ってきたって楽しかった!!と言える男なのだ。 いつだって限界を超えようと挑戦し続けているのだ。

サーフィンの世界でも誰も発想がなかったようなクレージーな新しい技を編み出すのはOG君のようなタイプかもしれない。 これからもOG君のサーフィンには大きく期待したいと思っている人間は僕だけじゃないだろう。






2016年9月12日

ビーチセッション

二位ノ浜が良かった。 このビーチとしては100点満点中で70点以上というイメージの余裕で合格点。

サイズは十分あり、パワーもリーフに迫るぐらい。

ただし、うねりもバラけているしカレントも入るし、テイクオフの位置は難しい。 とはいえ、良い波を選べばショルダーの張り方も文句なし。 大きな口を開けるチューブもあってクオリティは高かった。

が、僕は全然乗れなかった。 掘れ掘れの波にテイクオフがうまくいかず、全く話にならなかった。 最近の僕はほとんどサンデーサーファーが弱ったようなヤツになってしまっている。 KR君などは、カットバックやリップを入れた後でクローズセクションでエアーにいくというようなライディングを次々に繰り出しているのに、僕はパーリングしたり、乗ったと思ったらスタンスが合わずフラフラだったり。 正直言って悔しかった。 KR君などは、サーフィンへのエネルギーの注ぎ方がほとんどプロレベルなので、

身体はアスリートみたいに仕上がっている。 僕と同じ年なので僕には何の言い訳もできない。 夕方の1ラウンド目に入った僕が、朝からやってて3ラウンド目だというKR君の5分の1も波に乗れない。 これがサーフィンだ。 甘くはない。 そんなに適当に向き合う人間にうまく乗れるような安っぽいもんじゃない。 逆に燃えてくる。 僕も身体を以前の強さに近づけるよう戻していきたいという気持ちが強く静かに燃えている。 走り込んだり、ストレッチやヨガや筋トレを欠かさないKR君のサーフィンがなおさらかっこよく見えた。 AJ君もすごい波で、カービングにいこうかリップにしようか迷ったという一本のスピードの乗った攻め方がかっこよかった。 ITOくんもセットのデカくて良い波を捕まえていたし、SHTさんOMT君KMT君やSTSH君も良い波に乗っていた。 Jも頑張ってインサイドのスープで練習していたが、感想は「全然大丈夫じゃなかった」らしい。 めっちゃ楽しかった+温泉に入ったみたいにすっきりしたというコメントもあった。





2016年9月11日

ダンパー気味レフト

レフトのリーフ。 今日も波質は最低で100点満点中の15〜20点ぐらい。 前が落ちてしまうダンパー気味の波でしかもテトラポッドに近いので、単純に横にかっ飛んで安全にプルアウトできればラッキーという感じ。 ただテイクオフの練習にはなるし、あとは、やはりレールワークの実験というか練習はできるはずだった。 が、結局アドレナリンの興奮の中、そういう冷静さは海から上がって反省するだけといういつものパターン。





以下、写真は上からITO君2枚 MNB君1枚 IMAHSHさん1枚






2016年8月30日

僕はテトラポッドの餌食として生贄になった。

これで、この秋は良い波になると思う笑

レフトのリーフでの今日の波は結構危ない感じのブレイク。

波質としては、先週の土曜日が20点なら今日は15点だろうか。パワーもサイズも今日の方があるのだが、まともなサーフィン可能な波は土曜日の方が多かった。今日はリーフの岩棚とうねりが合っていないので、どれだけサイズのあるうねりが来てもブレイクしないままでインサイドまでのびて、結局テトラポッドの近くでダンパー気味に崩れるという感じだった。 それでも波を選べば横に走って、ものすごいかっとぶ波もあった。 ちょっと危ないぐらいの張りかたのショルダーは、レールを入れても普段よりもドライブするパワーを存分に与えてくれる。 アドレナリンが出るような波も何本かあった。 ただ、このタイプのブレイクの場合は、技の練習にはちょっと向いているかわからない。 テトラが近すぎる。 最終的には安全にプルアウトするタイミングを見ながら乗っていることの方が多かった。 そんなコンディションなのに、KPくんはチューブをメイクしたりして攻めの姿勢は失わなかった。 ITO君もハードな波にチャージしていたので面白いセッションだった。 僕は後で振り返って反省しているのは、トップカービングでテールがスライドしてフィンファーストに回り込みかける時に、もっと気持ちを決めてしっかり重心をコントロールしてメイクする気持ちが強く必要だと思った。 同じパターンで二度もワイプアウトがあった。 両方とも、テールがスライドしている途中で、波の掘れ方が激しすぎるので気持ちが負けて諦めてしまって、ほとんど自分からコケに行ってたのじゃないだろうか。

もっと、回しきって、リバースさせる挑戦をするとか、それとも、テールファーストまで回しきった後で、リバースさせずに戻すとか、ちゃんとメイクする覚悟が欲しい。

気持ちの面で技が中途半端になる後味は最悪だから。






2016年8月29日

豪雨のセッション

今日はライトのリーフでのサーフィン。

遠くからやってくるうねりはサイズも力も十分にあってかなり面白かった。 KP君はパワーのある硬いフェイスでのカーヴィングターンをグラブレールで太いトラックを描くように決めていた。 AJ君はセットの大きな波でスピードをつけてからリップ気味のフローターをブレイクの速いセクションでメイク。 KR君はインサイドセクションまでかっ飛んでキレのあるリップを決めていた。 僕はできるだけ良い位置からキレイに余裕のあるテイクオフが出来るようにという目標で練習した。 パドル力が少しだけ戻ってきたようで、サイズのある波にもどうにかテイクオフ出来る率が上がってきたのが嬉しい。 僕はスルーしてしまうのだけど、KR君やKP君などはものすごい掘れ方の波にでも突っ込んで真っ逆さまにひっくり返り一回転していたりハードな攻め方をしていた。 AJくんは変わらず大き目のセットを狙い澄ましてゲットというリズムだった。 10分間大荒れで強風豪雨で前が向けなくなったり、その後ふと風が止んで晴れ間が見えたりしたが、すごいストーミーだったのは間違いない。 久しぶりにここで入ると、またしばらくこのライトのリーフのブレイクを攻略したいという魅力にとりつかれる。 連続で何日か入って色々と試したいことがあるのだけれど、自然相手なのでそうはいかないのが悔しい。 今回のスウェルのもたらしてくれたこのセッションにこの日参加できて良かった。

写真は講師メモ8月27日






2016年8月27日

ジャンクなリーフL

期待はずれな感じのレフトのリーフでセッションした。

ジャンクで、水抜けが悪くボトムがなく、スピードもつかなくてショルダーも張らないので技もかけにくい。

ここまで書くと本当に最悪だが、実際にリーフLのポテンシャルを100とするなら、20点ぐらいだろうと思う。

5つ星☆☆☆☆☆なら1つだけ。☆だ。

とはいえ、この時期にリーフに入れるだけで気分は盛り上がるし、数時間のセッションでは仲間たちにそれぞれかっこいいシーンがあった。 SHTさんは激しいリップが良かった。 ITOくんは裸にピンクのボードでマッチョな雰囲気も良かったが、テイクオフもボトムターンもパワーアップしていて、スプレーを大きく飛ばすのを見た。 久しぶりに来たYKWくんはさすがにパドルがきつそうだったし、乗ればターンがふらついていたのがここ数ヶ月の僕自身の姿と重なった。 YDくんは、この日には珍しいチューブの波が突然現れた時、ボトムからトップターン気味のストールを決めてドンピシャのライン取りに収まった一連の動きが本当にスムーズでスタイリッシュで見とれてしまった。もう一つ、大声を出して感嘆してしまったのが、ブローテールオフザリップ。 ものすごいドライブして速いボトムターンから頭上に降りかかってきた波のリップに向けて、YD君はフルスピードでノーズを突き刺した。 次の瞬間、ボードの半分以上が波のトップを突き破り空中で回転すると、全くスピードを失わずにそのままボトムへ降りてメイクした。 これにはゲティングアウト中の僕も大興奮だった。この日のビデオを撮ってくれたJも僕が上がった時の感想は、みんなかっこ良かったけれど、特にYDくんのサーフィンがすごかったということだった。

講師キャプテンメモ


以下写真は上から2枚YD君(CHADO) 次に2枚SHTさん

その次がITO君で、最下段はYKW君 撮影J





2016年8月26日

でかいスウェル 夏が終わる前に

台風への吹き込みなどで今週末から来週あたままでは波がかなり大きくなりそうだ。

先日ビーチでリーシュが切れてからは古いリーシュを使っていたので慌てて新しいリーシュを購入。

強くて大きな波に備えなければ。

ここ数日ビーチの小波で頻繁にサーフィンしていたし、夏のこの時期にしては自分のフィジカルはコンディションが悪くない。 前回は火曜日にサーフィンしたので、水木金の3日休息して土曜日にサイズが上がったところで勝負だ。 身体はけっこう動いてくれそう。 メンタルはどうだろうか。 春ぐらいからリーフで調子の良いサーフィンができていないので、少し感覚が鈍っている。 自分が色々出来そうな自信は正直それほどない。 今年は宮崎に行ってないというのもある。 道具はというと、自分の調子の良いボードが全部修理中で、今使えるボードは性能が未知数のもの。 ビッグウェーブで安心できるボードがないというのはやらかした感がある。

とはいえ、想像すると気分が盛り上がってくる。

この時期はやる気になれば裸でサーフパンツ一丁でもサーフィンできるし、薄手のウエットを着ても身軽だ。

夏のビッグウェーブを思い切り楽しみたい。

大きな波でも勇気を出していろんな技に挑戦できるだろうか・・・






2016年5月14日

今日の気分

今日はいつもよりも長めの分厚いボードでゆったりとクルージングするように乗りたいなとか。

そういう気分によっていろんな違う波乗りを楽しむ人って多いんだろうと思う。

実際に、僕のまわりのサーファー達もけっこういろんなボードを乗り換えていたりする。

でも、僕はサーフィンを始めた時からずっといつだって馬鹿の一つ覚えのように同じ感覚だけを求めていた。

レスポンスの良い、自分の体重移動に敏感なボードで、思い切り掘れた速い波で最大限加速して大技に挑戦したい。 これだけ。

でも、最近はちょっとだけ、バリエーションというものも欲しいなという変化が生まれた。

たとえば、ビッグウェーブの時には長いボードで大きなラインを描いてみたい。

でかい波ならではのものすごいパワーを最大限にドライブに変換して、波のボトムからトップへと大きなターンをしたい。

これも今までのエクイップメントとしては短くて薄いボードしか持っていないから余裕がある時にガン(ビッグウェーブ用の、特別に長く厚い板)を手に入れたいなと思う。

逆に最近のプロのサーフィンの世界は、短めのボードで大きい波でも乗りこなすという流れがあると思うけれど、もちろんそれもすごい魅力的なことなのだけど、やっぱり厚くて長いボードならではのサーフィンの楽しさってあると思う。

昔は先輩の薦めもあってビッグウェーブ用の板を持っていた時期もあったからなんとなくわかるのだ。

他には、普通の波の時だって、きれいな優雅なラインで落ち着いて乗ってみたりもしてみたい。

こういうのって昔から時々宮崎なんかで見かけたけど、エリートアマチュアみたいな連中は10代前半のキッズのころからそういう乗り方をして練習していたなあって振り返って思い出したりする。

なんか、本当に力を抜いてきれいに(ある意味地味に)その波のその瞬間の最大のパワーゾーンに教科書的に忠実に留まるようにして、理想的なターンを繰り返してトップ~ボトム~トップ~ボトム~そしてきれいにカットバック~と繰り返す。 ちょっとスピードがついておいしそうなリップがメラメラって切り立って来たって、ガツガツと飢えたピラニアのように、派手さを狙った(ヘンに力の入った無理な体勢の)オフザリップとか、エアーとか、そういう派手なアクションには挑戦すらしない。

その頃の僕は、え?え?え?って理解不能だなって思っていた。

なんて退屈なサーフィンをしてるんだろうって。

それも、そういうのをずっと一日中真面目に繰り返しているのだから不思議だった。

今思えば彼らは基礎の型を身につける練習をしていたんだなって思う。

それはおいといて、

たまにはそういうきれいなサーフィンもしてみたいなって思ったりもするようになったのだ。

でも、実際に海に入るといつも通り派手なことがしたくて、いつも通りガツガツとむさぼるようなサーフィンになってしまう。

だからこそ、ぜんぜん違うタイプの分厚くてシングルフィンとかのボードを一枚持っていたら良いのかもしれない。 そういうのできれいなサーフィンがしたい。

MarBohさんなんかはそういうタイプのサーフィンかもしれない。

要所要所ではパワーゾーンを最大限に抑えた渋いターンからかなり力強い激しいリップも繰り出すけれど、全体的にスタイルがきれいなサーフィンだ。

僕もいつもの自分とは違うモードのサーフィンもレパートリーに欲しいかもしれない。

長髪にして、ウエスタンシャツとカーボウイハットとか、ヒッピー風のファッションとかそういうイメージも取り入れた方が良いだろうか。笑

だいたいサーフィンに行く前に聴く音楽がほとんど激しく速いedm的なものばかりだから、そのあたりも、今日の気分はリラックスできる音楽で行こう、みたいなモードができるかどうかだ。

あとは色かな。 昔からボードに色がついていたりするのが好きだけど、今まではオールブラック、一面真っ黒とか、そういうイメージしかなかった。 でも、今取り入れたいのは、真っ赤なボードとか、真緑のボードとか。 あとは、昔流行った蛍光の明るいイエローとか、そういうのもやってみたいなと思う。 気分次第で。

あとは自分で手作りしたボードにも乗りたい。

原始人っぽく、丸太から切り出して木のままでアライアみたいなボードを手作りして乗りたい。

なんか今さらそういう気分になるなんて、僕も本当に視野が狭いサーファーだったのかな笑

ところで最近の仲間内ではみんな進化していてかなりカッコいいけれど、目立った変化は・・・

ビーチではKR君のアグレッシブさ。

どんな波でもトップでの思い切りの良いアクションはいつ見てもワクワクさせてくれる。

いつだって一番楽しそうにしているのがKR君だ。

朝から晩まで同じ満面の笑顔でみんなを盛り上げてくれる。

きっと海のエネルギーを自分の中に充電できる能力が高いんだと思う。

リーフでのセッションでいちばん印象に残っているのはAJ君のライディングかもしれない。

今までとの違いと言えばラインの太さ、ターンの大きさだと思う。 大きなセットでパワーのある波に乗った時ほどその違いが際立っている。 2週間前ぐらいのライトのリーフセッションでも、ショルダーの張りまくった大きなセットの波にテイクオフしたAJ君は今までで見たことないぐらいのダイナミックなライディングでかっ飛んで行った。 AJ君の身体のポテンシャルから言えばああなるんだろうと思う。 二人とも(他のみんなも!)次の冬にはもっとすごいことになりそうだ。





2016年3月22日

Kanoa Igarashi 五十嵐カノア CTデビュー

写真はQuicksilver Pro Gold Coast のKanoa Igarashiと Stuart Kennedy

2014年にカノアがQSの大会を回っていた頃、1スターイベントのChiko MP Classic でのヒート中に、激しい競り合いの末 Stuart Kennedyを怒らせてしまい、彼と同じ波に同時にテイクオフしたカノアはスチュワートケネディに首を掴まれ思い切り怒鳴られ怖い思いをするなど、コンペシーンの本格的な熱さを厳しい洗礼の形で味わった。 それから2年後、カノアのCTデビューのQuicksilver Pro Gold Coast で二人は再び戦った。 カノアはCTにクオリファイされている立場、一方Stu Kennedy はケガのBede Durbidgeの交替要員としての一時的な出場という立場だが、結果はStu Kennedyは絵に描いたようなジャイアントキリングでケリーとガブリエルメディナという2人の世界王者を倒し、カノアとは明らかな実力の差を見せつけたような形となる皮肉な結果だった。

それでも、カノアはラウンド5まで健闘。 *Stu KennedyはKelly Slater、Gabriel Medina、John John Florenceを倒し、セミファイナルでkolohe Andinoに負け3位に。

*Stuart KennedyのシェイパーDaniel Thompsonは、Kelly Slaterの新しいサーフボードブランド「Slater Designs」に ボードを削っているが、愛読書が「仏陀の教え」、趣味が「悟りを開くことを追求すること」らしい。

ついに日本人が世界の舞台で戦う日が来た。

それもオンラインでLIVE中継のヒートをリアルタイムで見るなんて不思議な興奮を味わった。

18才の五十嵐カノア。 結果からいえばCT初参戦最初の大会を終えた時点でいきなり9位にランキング。

競技としての記録上は、現時点で Mick Fanning  Jeremy Flores  Josh Kerr  Taj Burrow  Julian Wilson  kelly Slater などの上位に位置するわけだから大金星というところだろう。

だけど、前述のように、カノアのサーフィンはCTにクオリファイされていない交替要員にもまったく及ばなかったように見えたし、(もちろんStu Kennedyは本来なら今年のCTにそのまま入れるレベルの超一流であるのも間違いないが)、他のベテランサーファー達と比べてもドライブの仕方も体重の載せ方もまったく別のクラスを見ているかのようだった。 パワーも足りないし、スピードも無い。 さらにいうならばクレイジーさもまったく無かった。 それこそStu Kennedyはぶっ飛んだクレイジーなサーフィンを見せた。

この大会だけを見るならば、カノアが9位になったことは残念ながら、う~ん???というのが僕の本音だ。

それでも、僕の素人目にはわからないぐらいの良さをジャッジ達は見ているから勝ち上がったのだ。 僕らのまわりでもカノアのライン取りの大きさなどをYD君などは高く評価しているし、何よりもアメリカのコンペシーンでエリートとして勝ち上がり、順当に史上最年少でのCTクオリファイを決めてきた才能はやはり間違いないだろう。 1年後、2年後に、経験も積みメンタルも向上し、もっと筋肉がついて身体が完成してさらに強くなった頃にはカノアは最強のサーファーになってくれることを祈りたい。

アメリカ生まれでアメリカ国籍を持つカノアは両親が日本人であっても自分のアイデンティティーはアメリカ人である部分は大きいかもしれない。 それでも大会の実況で、カノアはKanoa Igarashi representing Huntington Beach California USA also representing Japan....

「アメリカ代表、さらに日本も代表する選手」として紹介されている。 カノア自身も I’m super proud to be the first Japanese surfer and the first asian surfer to qualify in the world tour.

さらに、「自分は日本人として、さらにアジア人として初めてCTに入れたサーファーであることをすごく誇りに思う」とコメントしている。

大野マーでさえあと一歩及ばす、日本人は身体能力的にも世界の壁を超えられないんじゃないかと最近までは仲間達と話していた。 AJ君も「あと10年ぐらいはだれにも実現できないかも」なんて言っていた。 でもこんなに早くカノアはやってくれた。 日本中のサーファーが喜んでいる。 彼の影響はこれからの日本人サーファー達のメンタルブロックを外してくれたと思う。 カノアにやれるんだから俺にも!とあとに続くキッズが出てくるはずだ。

いつも笑顔のイメージの強いカノア。 どんな波でも思い切り楽しめるハートは持っているはずだ。 目が離せない2016のワールドツアーだけど、まだ少年のような彼が、タヒチ、フィジー、パイプなどのヘビーウォーターのビッグウェーブでどれだけ自由なパフォーマンスを見せられるのかが今年の一番の見所だろう。 今までは、世界で最も過酷な波を乗りこなすサーファー達はやはりどこか僕ら日本人とは作りが違うイメージだった。 (パイプやワイメアでは一部の日本人トッププロサーファー達もアタックしていることを除いて) だが、ヘビーなチョープーに乗る日本人など見たことも無い。 それが、ついこないだまでは普通の日本人のキッズと何も変わらない見た目だったカノアが、日本人のカノアが挑戦してくれるのだ。 今までとは違って、僕らはもっとリアルに感情移入してヘビーなコンディションの波を攻めるカノアのことを見守ることになるだろう。 上の写真のような、ライオンににらまれて恐怖におののいたハローキティみたいな顔のカノアはもう見たくない。 カノアの笑顔が見られるだろうか。 僕ら山口県のサーファー達も、彼が世界の頂点にふさわしいことを証明してくれる日を夢ている。

がんばれカノア!!







2016年3月2日

春の気配

今日はうねりの向きと潮のあまりピッタリきていないリーフをやった。

岩棚と合っていないために、テトラポッドに近づかないとブレイクしない波だったが、パワーのあるホレホレのレフトの波はやはりドロップが面白い。 急激に掘れるフェイスをスムーズに降りれた時の快感は病み付きになる。 1本だけチューブもメイクできたし、まあまあのドロップもメイクできた。 だけど一番練習したいエアーはほとんど挑戦するチャンスを逃し続けていた。 テトラが近いインサイドの危ないブレイクでは、チャンスも度胸との天秤にかけておのずと限られて来てしまうのがいつも通りの課題だった。 だけど、いつも思うことだけれど、こういう恐怖をひとつひとつ乗り越えていかないと大技をメイクする日は来ないかもしれない。 そんなに都合良く、スピードはめちゃくちゃ出るけれど、大きすぎず小さすぎず、しかも安全な柔らかいブレイクなんてものは本当に一年に1回もあるかどうかわからないから。 毎回もっと攻めないとって反省をするのが恒例になってしまっている。 この壁はどうにか超えたい。

やりたい技は本当は10個近くあるんじゃないだろうか。 トップターンひとつとって見ても、本当は何種類ものターンを試してみたいし、練習してみたい。 なのに、いつも結局同じようなライディングで自分の好きなライン取りから優先順位の一番高い技の練習ばかりで時間が過ぎていく。

ご飯に例えるならば、おかずやごはんやスープなどをバランス良く食べるべきだけど、僕の場合は、常に一番好きな一品だけを食べ続けているみたいな感じだ。 プロサーファーなんかもいろんな技を練習しているけれど、彼らはその日その時間帯の波の性質に一番合う技を練習するというセオリーに従っているみたいだ。 だけど僕のバランスの悪さは人生とそっくりだし、なかなか変えられそうにない。

バランスの良いサーファーといえばYD君だけど、今シーズンの彼のすごいシーンを思い出してみると、すぐに目に浮かんでくるのはビッグウェーブの日の果敢なテイクオフ。 そして、頭半オーバーぐらいのレフトのリーフが爆発した日の掘れまくる波のテイクオフ。 彼のドロップの迫力というか美しさというか、あれを目撃するたびに見とれて絶叫してしまう。 海が全体が動き、前につんのめりそうになる大量の水が恐ろしい勢いで一気に切り立って、底が無くなるその瞬間に、前に飛び出すリップと同化するように板が降りていく。 それに完全にタイミングを合わせて身体が起き上がる。 その瞬間、波とYD君の身体はひとつの機械の自動的な動作の一部のように見える。

かと思えば、YD君でさえ恐ろしいブレイクの餌食になって信じられないようなヘビーなワイプアウトを食らう時もある。 1ヶ月前ぐらいも、そういうシーンを僕とKR君がいっしょに目撃して、KR君は思わず顔をしかめていたし、僕も自分があんな突っ込みは絶対にできないことを知っているので震撼させられた。 あのテイクオフは本当にカッコ良くて憧れる技だ。 いつの日か僕も練習して近づきたいと思う。 もうひとつYD君で見とれるシーンは、いろいろあるが、今シーズンの場合はリップだった。 ドライブの効きまくった深いボトムターンからリスキーなセクションへの当て込み、そして反動のエネルギーをそのまま次のシークエンスに繋げるためのスムーズな体重のトランジション。 一連の速くて大きな動きは日本人ばなれした大野マーのサーフィンを連想させるものだった。 ああいうリップも練習したいと思う。

KP君のレフトのリーフでのグラブレールのドロップも難易度のかなり高い大技といえる究極のテイクオフのひとつだ。 ピークからポジションがドンピシャで、テイクオフ後そのまま波の形とスムーズに同化してきれいに波のポケットに深く収まって長い距離を駆け抜ける姿は本当にカッコ良い。 もうひとつのバージョンは、今日も見せてくれたが、波の掘れ方が予想以上に激しくなった場合に、フリーフォール気味にたたき落とされるままにグラブをして、右手でレールをねじ込むことで直角みたいに切り立っているフェイスに無理矢理板を突き刺してそのままチューブのコースにロックするというアマチュア離れしたすごいテクニックだ。 失敗するとワイプアウト時の揉まれ方も激しくなるし、そういう恐ろしい目に遭い続けないと彼のレベルぐらいにマスターもできない。 だからこそ本当にヘビーな波でこれができる人間もそうそうはいないと思う。 最近は新しいマジックボードとの相性も最高らしく、ライディングのキレも半端ない。

最近のKR君は攻めてる感じがかなり伝わってくる。 隙さえあれば全部エアーに持っていこうというアプローチは見ていてもワクワクする。 今日もリーフで一本すごい良いライディングを見せてくれた。 今までとはスピードののりかたが違うターンを見せながらインサイドの方まで攻めていったKR君だったが、危ないブレイクをしてきたテトラ前のインサイドセクションで、フィンと岩とに頭を強打してしまった。 血が大量に流れているので、KR君はいちど上がって、傷が病院に行くほどでもないことを確認してから、テーピングをして戻って来た。 最近のKR君の攻める姿勢は刺激を受ける。 僕ももっと攻めようと思う。

ITO君もテイクオフが速くなっているし掘れる波に突っ込んで見せ場を作っていたし、MNB君も速いテイクオフで良い波を掴んでいたが、今日のセッションで後半に盛り上げてくれたのはAJ君とSHTさんだった。 みんなが上がったあと夕方マジックになり、波のブレイクも安定してきたのだが、そんな中ホレホレの波を次々と攻めまくっている二人はかっこ良かった。 AJ君も今シーズンはサーフィンのクオリティをどんどんあげて来ているので、波を追いかける姿からしてオーラが違う。

今までよりも速いテイクオフとキレのあるリップがAJ君のあたらしいステージを印象づけている。 ITO君はビッグウェーブの日でも、自分でシェイプしたシングルフィンで入るし、そもそも彼のシェイピングのインスピレーションもユニークだし、流行や常識や人の真似をしない独特の感性がカッコ良いと思う。 SHTさんは先日のビーチブレイクの小波でかっ飛んでいたのだが、本人もああいう波は好きだというコメントをしていたけれど、スピードに乗りまくってキレのあるサーフィンを見せていた。 小さい波だってスピードが出れば最高だ。 どんな波だって掘れてくれさえすれば最高。

11月に復活して以来、僕のサーフィンの感覚もだいぶ戻って来た。 パドル力に至っては70%ぐらいまで戻ったぐらいかな。 まだまだいつでもキツいままだけれど。

もうあと何回リーフが爆発してくれるのだろう。 やりたいことだらけだ。 海の神様!お願いです。 ずっとずっと波を途切れさせないでください!

写真は講師Memo 2016年2月






2016年1月26日

BIG WAVE

シーズン最大級のビッグウェイヴが届いた。

その日は仲間の多くが他のポイントに入っていたので、

巨大なレフトの波が次々に爆発しているブレイクを眺めてチェックしているのは僕とYD君だけだった。

ローカルサーファーの間では ”赤灯台オーバー” と呼ぶレアなコンディション、最大のセットは8フィートクラス(実際の波の高さは約5メートル)の波が炸裂するスーパーハードな状況だ。 長門市でサーフィン可能な間違いなく最大のレフトの波。 この日を楽しみにしていたと言いたいところだが、どうだろう。 正直言って僕は怖くて、なにかサーフィンせずに帰る理由がないか考えたいぐらいだった。

いつもはめったにそういうセリフを言わないYD君も「デカイね・・・」と言う。

波が巨大なことに比例して、海全体のカレントも強烈で大きな流れが川のようになっている様子がわかる。

この海に入るには、危険に対するイメトレも必要だ。

リーシュが切れた時にどうやって上がるかということをYD君と打ち合わせることから始めた。 ボードが折れたりリーシュが切れた場合はこの状況だと自力だけでは上がれないかもしれないとYD君。 相手がテイクオフするたびにお互いのことを観察するようにして、何かあったらお互いに知らせたり助け合うようにするということを確認し合う。 この山口県長門市でサーフィンし続けてずいぶん長いが、これだけ大きな波でのサーフィンは今までにも何度かしか経験は無い(ハワイなどの海外は除く)

そして、以前にこのぐらいのコンディションだった時よりも今の方が恐怖が大きい。 昔は、大きい波やワイプアウトを怖いと思ったことが無かった。 なぜだろう。 理由を考えてみた。 もちろん今は僕のパドル力がベストでは無いということも大きい。 でも、今の方が攻める気持ちが強いから、ということがとても大きいかもしれない。 昔だったらハードになればなるほど捕まえる波の質と、テイクオフの質はあまり求めていなかった。 とりあえず立ち上がればそれで良しとしていたのだ。 でも、今はよりハードな波に行きたい。 より質の高いテイクオフをメイクしたい。 掘れた波のテイクオフをビビってチキンアウトするようなことをしたくない。 そういう覚悟は、よりハードなワイプアウトを乗り越えなければならないことになるので、深刻な大怪我などを含めた恐ろしい目に遭う率が上がると今は知っている。

ウォームアップのために小走りで海まで移動。

岸でYD君と入念にストレッチをしてお互いにハグをして、

「安全にサーフィンできることを意識しようね!」

「何かあったらよろしく!」とお互いに言葉を交わす。

ついに、岩から飛び込み、遠くの沖合のラインアップへとパドルアウト! 50メートル、100メートル、と、ブレイクする波に近づくにつれて、海全体のうねりの大きさが異様な迫力で迫ってくる。 崩れている波のレギュラー方向から近づいたのだが、波の裏側からグーフィー方向のブレイクを見ると信じられないような水量の水しぶきが波の爆発に合わせて轟音を立てている。

セットのブレイクを予想した位置よりもややアウトめにポジションを決めて波を待ち始めた。

最初のセットを待つ数分間は、ゆったりと大きく揺れ動く海のリズムと僕の鼓動の早さが不協和音を奏でていた。

そのうち沖の水平線が黒く盛り上がりYD君が「入ったね」と言う。 胸が締め付けられるような緊張とともにいくらかさらにアウトにパドルしてみた。 数十秒後に大きなうねりが僕らの前で切り立った時、僕らは最初の2本をやりすごした。 次の1本に僕は180度向きを変えて漕ぎ始めた。 何回かパドルをするうちに波はどんどん切り立っていき、そのとてつもない高低差と波の凶暴なパワーがたちまち僕の戦意を喪失させた。 僕はパドルを意識的に失速させたそのとき、今日のこのコンディションで、僕が波にテイクオフすることは1本だって不可能なんじゃないか、と思っていた。 一本も乗らなくても良いから無事に上がりたいということだけ脳裏をよぎったぐらいだ。

最初のセットで。

その瞬間YD君はというと、僕の数メートル、ディープインサイドにポジションをとっていたので僕のあきらめた位置よりももっとハードに掘れていたのに、躊躇せずに思い切りパドルし続けて、そのままものすごい厚さの水の固まりが突然前に飛び出したリップの下に消えてしまった。

彼がテイクオフをメイクできたとは思えないような掘れ方とドロップのタイミングだったのだが、数十メートル位先のフェイスの裏側からものすごい大きなカーヴィングのスプレーが上がった瞬間にメイクしてるんだと確認できた。

そうやってYD君はつぎつぎへとハードな波を攻めていった。 時折ものすごいワイプアウトもしていたが、彼がそれでスロウダウンすることなどなく、余計に燃えているようだった。 僕はというと、セットが入る度に波のポジションが合わず逃げまくり、なんどもなんども大きな山のようなブレイクを見送って時間が過ぎた。

僕がこの日最初の波に乗れたのは1時間後だ。

少しだけ波の迫力にも目が慣れて、何度かドルフィンスルーの失敗でセットに捕まり激しく揉まれたりすることでアドレナリンも出て、少しだけ身体が動くようになったのだろう。 今までよりも良いポジションにいたので強く決意をして、思い切りパドルをしまくると、この日のセットとしては中ぐらいのサイズの波が切り立ち始める瞬間にはうまくボードが滑り出していた。

ミドルサイズぐらいの波だったのに、ボードに立ち上がり波の中腹を降りても降りてもまだボトムに着かない。 巨大な斜面を滑り降りる瞬間に記憶しているのは自分がとても緊張していたということ。 こんなことは初めてかも知れない。 普通は、テイクオフそのものがメイクさえできれば、斜面を滑り降りる時には集中してしまい、緊張などは意識できないものだ。 ところが、この時の波は、ドロップの最中に、自分の身体も心も緊張していて、可笑しいぐらいにこわばった体勢で波のボトムへと向かって滑り降りていったのだ。

そのあと、ボトムへ降りた僕は、その水量の多さでレールを簡単に埋めさせてもらえるような気配がないことに気づいて、探るようにじわりじわりとボトムターンをしてみた。 ドライブをかけレールを使った分だけ反発して大きくゆるやかな弧を描いて推進力を得た僕は波の中腹へと走った。 トップの方から前に降り掛かってくる分厚い波のリップが見えたので、レールを切り返して再びボトムへと向かった。 そのとき頭から肩、そして背中に大きな重量と衝撃を感じて車にはねられたように前方へはじき飛ばされた。 リップに直撃されたのだ。 ボードから落ちる前に、波の重さは僕の股関節と左ひざを突き下ろし、その衝撃で激しく揉まれた後、水面に上がった時は激しい痛みが残っていた。 やっと一本波に乗れたのにこれでリタイアかなという感触だった。 それでもゲティングアウトしたあと、10分ぐらいするうちに痛みは引いていったのでYD君とのセッションに水をさすことはしないで済んだ。

そのあと、僕は次の波を乗るまでにはさらに1時間。

レイトになりすぎてエアードロップ気味だったが、気持ちがどうにか前に行けたのでギリギリメイクできた。

波は最高で、何度も大きなターンをして、この特別な波の力を全身で味わった。 乗っていく距離も300メートルぐらいのロングライドで、プルアウトした後でラインアップに波待ちしているYD君ははるかに小さく米粒ぐらいにしか見えない。 3時間ぐらいのセッションで僕は最終的に5本ぐらい乗れた。 その間にYD君は質もサイズも最大級のものを20本ぐらいは乗っていたと思う。

この日のセッションに夕方に現れたITO君はなんとシングルフィンの短い板で入って来た。 ITO君がラインアップにやってきて最初に大きなセットが入った瞬間、彼も追いかけるというよりはただボードに座り、見上げるような波のブレイクを目にして、凍り付いたようにただ無言で波を眺め、そのあと笑顔も無く「で、でかい!」

とつぶやいた。 彼も味のある自分のスタイルを貫いていて、僕も好きなサーファーの一人だ。

YD君は最高だと言い続けていたが、僕にとってはこのセッションは楽しかったとは残念ながら言えない。 ヒザと股関節を負傷したことはたいしたことではないが、とにかく恐怖との戦いで心身ともにすり減ってしまった。

それでも無事に上がって車に乗り帰途へ着く時には安堵の中で、長いスロープを滑り降りるシーンや、急激に下が無くなるような掘れ方をする波に落ちるようなテイクオフをする感覚に余韻は非現実的で、不思議な麻酔にかかったような心地よさを感じさせてくれる。 やっぱりこのセッションに参加できたことを心の底から良かったと思えた瞬間だった。 自分が今は限界を感じるようなコンディションでもっとうまく乗れるようになりたい。 もっと追求したい。

写真は講師MEMO 撮影J 長門市のサーフポイント

写真はYD君(小さめのセット)撮影J






2016年1月17日

青春っぽい?

サーフィンが面白くてしかたない。

もう人生の半分以上ずっと長いことサーフィンしているのに。

こないだなんかも、一本波に乗るたびに、「あ〜もう一本乗りて〜」ってなって、そのあとで、

「あ〜マジでもう一本」ってなって、

そのあとも、「いや、マジで、マジでほんともう一本乗りたい!」

ってなるのだ。

日が暮れるまでずっとそんな感じ。

そのまま100回以上繰り返し。

毎日そんな感じ。

脳内からはヘンな化学物質がいっぱい分泌されてるっぽい。

ドーパミン?

セロトニン?

アドレナリン?

エンドルフィン?

とか?

多幸感。 ユーフォリア。

こないだAJ君と話していたのが、なんだかサーフィンに夢中になりそうだっていうこと。 は? って自分でも思う。

遥か昔にサーフィン始めた日からずっと夢中なのに。

重度のサーフジャンキーとしてずっと生きてきたのに。

でも、時々真剣にそんなことを思うのだ。

「あ〜!マジでサーフィン楽しすぎる!ハマりそう!」

って。 自分で言ってて、は??? ってなるけど。

AJ君も言ってた。

「青春っぽいね!」

ところで明々後日にはスペシャルなビッグウェーブがやってきそうだ。

僕のパドルも少し戻りつつあるし、

いい波に乗れるだろうか。

分厚い水の壁のイメージに心が騒ぐ。

写真は講師2015年12月 撮影ITO君



サーフィン写真






サーフィン用語

ノーズ サーフボードの先端

テール サーフボードの最後尾

レール サーフボードの横の部分(この部分を沈めてターンする)

フィン ボードの裏のサメのヒレのような部分(これもターンに使う)現代のボードは通常3つある(昔は一つだった)

ターン 方向転換のこと (緩やかなターンから急激なものまで)

パドル 波の崩れる沖合までクロールのようにこいで移動すること

ドルフィン 沖にパドルアウトする時に目の前で崩れる波をイルカのように潜ってやり過ごす技

レギュラー 岸から見て右から左に崩れる波

グーフィー 岸から見て左から右に崩れる波

ブレイク 波の崩れ方、崩れること

ショルダー 波の斜面の今から崩れる部分

ボトム 波の一番下の底の部分

トップ 波の一番上の部分

アウトサイド 岸から遠い沖の方

インサイド 岸に近い波打ち際の方

テイクオフ 波を捕まえてサーフボードに立ち上がる動作

カットバック 波の上を走っている最中でUターンをして戻ること

パワーゾーン 波の力が一番強い部分

ライン 波の上の自分が走るコース、そのコース取り

360 走っている最中に360度の水平方向の回転をすること

リップ(オフザリップ) 波のトップでの急激なターン

ドライブターン 脚力、遠心力、高度な体重移動の技術を使って、水中に深くレールを入れて、大きく加速していくターン

カーヴィング 波のトップでレールを深く水中に入れてドライブターンすること

マニューバー 波の上ですべての技術を使ってボードコントロールを行い、思いどおりの動きをすること あらゆる技の総称

メイクする 技を成功させること

エアリアル フルスピードまで加速して、波のトップから空中にジャンプする技の総称

チューブ 波の崩れ方によっては空洞になりトンネルのような土管のような部分ができる

このチューブに入り、そしてメイクすることはとても高度な技術を必要とする

ワイプアウト 波に乗っている時に転倒してしまうこと

パーリング テイクオフを失敗して落下すること

掘れる 崩れる波の斜面が急激に切り立って角度が直角に近くなること こういう波はテイクオフが難しい

たるい 崩れる波の斜面がとてもゆるやかな波のこと

刺さる テイクオフの瞬間やターンの直後にノーズが波に突き刺さること

セクション 波のある一部分 または進行方向の数メートルの範囲

フローター 進行方向の波が一気に崩れるセクションで崩れるトップを無重力で滑るように横に走り抜ける技

前が落ちる 波の進行方向、自分の目の前の波が崩れてしまうことによって、それ以上横に進めなくなること。 それ以降は真っすぐ岸に向かうことしかできないので、その場でライディングをやめたりする