講師になるまでの物語5









ハワイでの6ヶ月  

(信仰心というものの力を垣間みる)  





 帰国後は再び自動車工場で資金稼ぎ。

ハワイに半年の滞在をする。

サーフィンの世界的な有名ポイントの点在するオアフ島ノースショアで冬場のビッグウェイブを堪能する。   波にのまれた時の衝撃はすさまじく、その冬の間にサーフボードが二本まっぷたつに折れたが幸い大けがはなかった。   

 ノースショアのサーフィンのシーズンオフには、新聞でみつけたハワイ大学に近いアパートに引っ越す。  近所の人々で熱心なクリスチャンたちと友達になり、教会に通ううち、それらの人々のあまりにも強く優しく輝いている生き方に感動し、神様を信じる気持ちが強くなっていった。 数週間後のある朝早く、金色の太陽の輝く真夏のワイキキビーチで洗礼を受ける。  (これは帰国後に熱が冷めてしまい、現在は再び無宗教に戻る)   

 教会でのバンド活動に参加してピアノやドラムを担当する。  ゴスペルというものをみんなで歌うのはとても感動的で素晴らしいものだった。   そしてなによりも、強く神を信じているという安心感や幸福感はとてつもなく大きなものだったことは今でも強く記憶に残っている。   何にせよ信じることができるものがあるというのは素晴らしいことだ。   

 コミュニティセンターでの絵画教室などに参加したりハワイ大学の学生などと交流をしたりしてさらに英語力を高める。 

 タイ出身でフランス育ちの、あるクリスチャンの美しい青年との交流も印象深かった。

 彼は孤児としてフランスのスラム街で育ち、自分を守る手段として格闘技をマスターした。  生き残るために他人に対して暴力を使う日々の中に絶望しハワイに移住。   知り合ったクリスチャンに勧められキリストを受け入れて以来、自分を厳しく律して地域の子供たちにスポーツとしての格闘技を教えるようになった。     毎日朝4時に起床して、厳しいトレーニングの後に聖書を読む。   銀行の警備の仕事に行き、教会そして地域の奉仕活動や、子供たちに格闘技を教える教室などで一日は終わり、祈りを忘れずに早い時間に就寝する。   食事はとても質素なものなのに鍛えられた身体は躍動する鋼のようで、力強い筋肉で盛り上がった分厚い胸板は、彼の意志の強さと神への絶大な信仰心を表しているかのようだった。   

 鍛え上げた強靭な肉体と強い信仰心の二つを信じることができるためか、彼は常に全ての人に対して深い思いやりをもち、弱者を助ける姿勢で、自らはとても質素な生活なのに感謝はあふれ、その当時は恋人がいなかったので恋人は欲しいと言っていたが冗談半分以上に「僕にはジーザスが愛をくれるから」と言って幸せそうだった。  

 人間は、自己の幸せというものをストイックな精神修養によって積極的に能動的に形作ることができるのだという一つの例として、彼の生き方は私にとってとても印象深いものであった。  

 過去の自分を本気で悔いて自らに強い決断の力で変身を誓った男の生き方だった。